チェコの3連休は、毎日抜けるような青空でした。
こんな天気をチェコでは、バビーレト(ばあちゃんの夏)とかインディアン・サマーと言うそうです。
連休は、28日の日曜日が聖人ヴァーツラフの日。
聖ヴァーツラフといえば、プラハのヴァーツラフ広場の名前の由来になっている、チェコの守護聖人です。
10世紀のボヘミア王国の王様であり、現在のチェコの国家理念を作ったといわれる人。
最後は、無念にも実の弟ボレスラフに、殺害されて死んでしまいます。
この日にちなんで、チェコにはこの3連休にバチカンからローマ法王ベネディクト16世が訪れ、プラハ・ブルノ・そして聖ヴァーツラフの殺害されたスタラー・ボレスラフを回り、各地でミサを行われました。
ブルノのミサでは、約12万人の人々がチェコ各地・ヨーロッパ各国から集まったそうです!
チェコは、カトリック信仰の薄い国としてヨーロッパでも有名ですが、ブルノ近郊のモラヴィア地方・スロヴァキア・ポーランドは高い信者率で、ミサにも多くの人々が参加したようですね。
紀元前から始まったカトリックという信仰宗教ですが、現在でもこれだけ多くの人々を巻き込む宗教団体であるわけですから、教えは歴史を超えて人々の胸に響くのでしょうか。。。
宗教観念の全くない私ですが(神社とお寺と教会に行く典型です。)、近頃読んだ本で少し古いですが、妹尾河童さんの書いた、「少年H」という本を読んで、カトリック信仰であった彼の家族の話を思い出しました。河童さんによると、カトリックの教えは、悪いことをしても懺悔によって救われる宗教、仏教は悪いことをしたら地獄に落ちる宗教というあらわし方がありましたが、テレビ画面に移るベネディクト16世を見ていると、確かにすべてを許容し、すべての人に愛を放出する、安らぎの顔をしていたように思えます。
そういう意味では、すべての人が救われるカトリックの考え方が何千年とヨーロッパを中心に息づいている理由が分かる気がします。
***************
さて、ローマ法王には申し訳ないのですが、私はこの3連休はミサには参加せず、モラヴィアの荒野をまたもや自転車で駆け巡っておりました。
前回のモラヴィアサイクリングの旅があまりにも美しく、今シーズンどうしてももう一度行きたくなってしまったのです。何しろ、大好きなワインとサイクリングの組み合わせなので、心はウキウキ。
また、モラヴィアは平坦な荒野なため、坂道をあがる苦しさも少なく、シュマヴァ(南ボヘミア地方)のようにヒーヒーハーハーいうこともないので、初心者にももってこいコースです。
そして、サイクリングの良さは健康にもいいこと。
そして、レジャーや観光と違って出費も抑えられること。
そんでもって、青空の荒野を自転車で駆け巡ると、この上ない自由を感じられます。
「このままこぎ続ければ、ロシアまでも韓国までも行けるんだあ」
大げさですが。。。
さて、今回は前回訪れたValticeという南モラヴィアのワインで有名な町を基点に、オーストリアやBreclavといった、モラヴィアの町を巡りました。
一日に一体どのくらい走るかというと、モラヴィア地方のような平坦な地方では、大体50KMから65KMくらい、また坂道の多い山間では、一日40から50KMで十分です。
かつての国境を越え、オーストリアに入ると丁度葡萄の収穫をしていました。
たわわに実った葡萄を、大きな機械で刈り取り、トラックで収穫した葡萄を各収集所へ運びます。
親切なおばさまが、バケツに山積みになっていた葡萄を勧めてくれました。
食べてみると、すごく甘くて、とてもおいしいかった。
ドイツ語はさっぱりなので、ダンケシェンしか言えなくて、残念。
ちょっとだけドイツ語のできる旦那様が、近くにいたおじさまとの会話を通訳してくれたところによると、私達の食べた葡萄は、Veltlínské zelené (Grüner Veltliner)という種類のもので、100年ものだった!
現在は収穫には機械をつかっているけれど、少し前はチェコやスロヴァキアから沢山の人が葡萄積みに出稼ぎに来ていたそうです。
今でも、機械で摘み取れない箇所にある葡萄は、人間の手で摘み取り作業をしているのだそうです。
また、今年は初夏に雨が多く、秋になり雨の量が減ったので、葡萄にとってはとてもいい天気であったと。
しばらく行くと、小さな村でも町でも、村全体に葡萄の匂いが充満してました。
ほとんどの人々が葡萄の収穫に追われているせいか、町はわりとひっそり。
その代わり、葡萄畑のあちこちで笑い声や歌声が聞こえます。
また、秋の風物といえば、カボチャです。
各家の玄関口には、アートオブジェのようなカボチャがかわいく飾ってあったり、無人販売しているところもありました。
しかしながら、カボチャは、日本の東洋カボチャの方が断然おいしいです。
そして、秋のモラヴィア地方の風物詩といえば、、、フォークロアフェスティヴァル。
たまたまBreclav(ブジェクラフ)という、南モラヴィア地方の町で見かけたフォークロアの町歩き。
かわいらしい刺繍の民族衣装は、こんなおじさま達もかわいく見せちゃいます。
とうもろこしも向日葵も、すっかり茶色になり、すべての作物の収穫の時期。
そして、その収穫を祝う収穫祭(ワイン祭りやフォークロア祭り)。
日本もヨーロッパも生活に息づいているものは、同じなのですね。
日本も、そろそろお米の収穫の時期でしょうか?
Valticeでは、おいしいブルジャーク(ワイン発酵段階の葡萄ジュース)の盛りの時期。
白・赤両方試しましたが、本当にほっぺが落ちるほどおいしかったです。
ちなみに、来週末土曜日はValticeのワイン祭りです。
この機会に是非、Valticeへ出かけて見てください。
モラヴィアのワイン、古城(ヴァルティツェ城・レドニツェ城)、フォークロアイベント盛り沢山です。
http://www.valtice.eu/